酪農学園大学OIE食の安全ジョイントコラボレーティングセンターについて

掲載日:2021.03.01

世界獣疫事務局(OIE)は、1924年に28カ国の署名を得てフランスのパリで発足した世界の動物衛生の向上を目的とする国際機関です(https://www.oie.int/)。業務としては動物衛生や人獣共通感染症に関する国際基準の策定などを行っています。OIEの活動を進める上で、外部の科学的知見を得ることが不可欠であることから、各国の検査・研究所などを指定して、OIEや加盟国への技術的な助言を求めています。OIEが指定する特定の疾病に関して指定されるものをリファレンス・ラボラトリー(Reference Laboratory)と呼び、疾病全体もしくは専門的な分野に関して指定されるのがコラボラレーティング・センター(Collaborating Centers:CC)となります。酪農学園大学には、かって神谷正男教授を中心にエキノコックス症のリファレンス・ラボラトリーがありましたが、神谷先生の定年退職に伴って廃止となりました。また、私立獣医系大学で最初のCCとして食の安全ジョイント・コラボラレーティング・センターが酪農学園大学獣医学群獣医学類衛生・環境学分野(https://rakuno-oiecenter.org/)と東京大学食の安全研究センター、シンガポール国獣医公衆衛生センターとともに、2014年5月のOIE総会において指定されました。設立から6年間を経過し、いろいろな活動を展開していることから、ここで食の安全ジョイントCCについて紹介したいと思います。

そもそも食の安全CCは東京大学とシンガポール国獣医公衆衛生センターで活動を行っていました。当時の東京大学の責任者が杉浦勝明教授でした。日本におけるCCの活動をさらに活性化したいとのことで、この領域で東京大学の活動と重複しない多くの分野を持っている酪農学園大学に声をかけていただいたのでした。酪農学園大学獣医学群では国際化が喫緊の課題であったことや、国際的な活動を積極的に進めている教員が多かったこともあり、すんなりと大学の承認が得られました。そこでまず取り組んだのが体制整備でした。食の安全をテーマとすることから獣医学類全体では馴染まないと考え、農場から食卓までと、それを支える環境の持続可能な保健を担う応用獣医学の衛生・環境学分野を活動の中心にすることにしました。この分野には、獣医衛生学、ハードヘルス学、食品衛生学、人獣共通感染症学、獣医疫学、環境衛生学、獣医倫理学という7つのユニットがあり、11名の教員がそれぞれの専門分野で教育・研究活動をしています。次にセンター長ですが、国際経験が豊富な獣医疫学の蒔田浩平教授が就任しました。開設以来の主な活動としては、ウガンダの安全な牛乳生産支援があります。このプロジェクトに対しては、2016年から3年間にわたり、JICA草の根技術支援事業で、乳房炎とダニ媒介性疾病の防除、繁殖の改善により2割の牛乳生産性向上が実現しました。また、ベトナムでの狂犬病撲滅に向けた活動や、アフリカとアジアの5か国でのブルセラ病の制御、非正規流通の食の安全向上などプロジェクトを主導しました。

組織を運営するに当たってのOIE本部からの金銭的な援助はなく、完全なボランティア活動であり、大学からの援助もほとんどない厳しい状況ながら、組織構成員の工夫と努力によって活動を継続しています。現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延で、国際的な活動も制約される中、可能な範囲で活動を継続し今後の活動を模索しています。活動を実施する中で多くの獣医学生も参加する機会が多く、国際感覚を有する次世代の人材育成に大いに役立っており、獣医学教育に計り知れない影響を与えています。私立獣医科大学でただ一つの組織として、また酪農学園大学の特徴ある獣医学教育の中心として、今後も益々発展して欲しいと願っています。なお、センターでは共同研究や国内外の外部資金、日本獣医師会のアジア地域臨床獣医師等総合研修事業などによる大学院生や獣医師の研修も実施しています。共同研究や研修の要望がありましたら、下記の連絡先までお寄せください。

 

連絡先:酪農学園大学OIE食の安全ジョイントコラボレーティングセンター

センター長:蒔田浩平教授(獣医疫学)

Tel: 011-386-4716  E-mail: kmakita@rakuno.ac.jp

HP:  https://rakuno-oiecenter.org/