11月は薬剤耐性対策推進月間だったはずですが・・・

掲載日:2020.11.25

2016年にわが国の薬剤耐性対策アクションプランが制定されて以来、WHOが推進するWorld Antimicrobial Awareness Week(https://www.who.int/campaigns/world-antimicrobial-awareness-week)に連動して、AMRに係る全国的な普及啓発活動を推進するため、毎年11月を「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」(推進月間)に設定しています(図1)。今年も内閣府が音頭をとり、推進月間中に文部科学省、厚生労働省、農林水産省で様々な取組みを実施する予定でした(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/infection/activities/amr/r02_taisakusuisin.html)。しかし、昨今の全国的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応に追われて、AMR対策について積極的な取組みが行われないままに今年は終わりそうです。昨年、国内でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌という2種類の薬剤耐性菌感染症で推定年間7,000名の方が亡くなっているとの報告を、このコラムでも紹介した通りです(https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3330.html)。実際にはさらに多くの薬剤耐性菌感染症が発生していますので、それ以上の方が亡くなっていることになります。COVID-19はわが国で初発生して現在までの死亡者数を1,987名(11月22日)と報道されており、死亡者数からもAMR対策の重要性を示しています。しかし、今はマスコミも燃え盛っているCOVID-19に集中しており、薬剤耐性菌の脅威を忘れているのではないかと危惧しています。推進月間は終わりますが、COVID-19とともに今一度AMRについても関心を持っていただきたいと思う次第です。

このような状況にあって、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターでは、「AMR対策推進月間2020」と銘打って動画やポスターなどの視覚的な情報をもとに医療分野におけるAMR対策に関してキャンペーンを行っています(http://amr.ncgm.go.jp/information/campaign2020.html)。人気芸能人も出演するなど大変興味あるコンテンツも多く、誰でもが理解しやすい内容となっていますので是非ともご覧いただき、AMRに関心を持っていただきたいと思います。

一方、農林水産省はこれまで行ってきた獣医師や農家に対する普及啓発に加え、今回、新たに愛玩動物の飼い主向けに農林水産省公式Twitterにて、AMR対策に関する情報発信を開始するとのことです(http://jvpa.jp/jvpa/wp-content/uploads/2020/11/2020117_01.pdf)。また、推進月間に合わせて開催される第12回日本医師会・日本獣医師会による連携シンポジウム「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの成果と次期の展望」を後援する予定です(図2)。シンポジウムでは動物分野のみならず、医療分野のAMR対策取組事例の発表も予定されています。オンライン開催で事前登録により参加が可能ですので、積極的な参加をお願いいたします。

 

図1.「AMR対策推進月間」ポスター(内閣府)

 

 

 

 

図2.日本医師会・日本獣医師会連携シンポジウムのポスター