JVARM報告書(2016-2017)英語版の発刊

掲載日:2020.08.31

農林水産省動物医薬品検査所(動薬検)では動物分野における薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)の英文報告書を2000年度の成績から公表しています。今般、2016年度から2017年度の成績(Report of the Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring System 2016-2017)を公表しましたので紹介したいと思います1)

JVARM設立当初から日本における動物の薬剤耐性モニタリング成績をできるだけ早くに国内はもとより国外に公表することを目標に努力してきたところです。世界的に薬剤耐性菌の状況は日々変化しており、時機に適った情報を発信することは国が実施するモニタリングを運営する上での責務であると考えています。これまでは対象細菌の担当者が取りまとめた成績をさまざまな学会で報告することで、速報としての成績を公表してきたところです。そして年間のまとめを動薬検のURL(https://www.maff.go.jp/nval/yakuzai/yakuzai_p3.html)で公表してきました。ただこれでは国内の専門家には良いとしても、薬剤耐性菌のグローバルな視点での責務を果たしているとは言えません。当然、担当者は実施した成績の科学的評価を受けるために国際的な専門誌での公表を目指してきました。でもこれでも一部の専門家に対して意義のあることでありますが、広く国際的な活動としては不十分に思えるのです。そこで今般発刊した英文報告書は専門家を含めてこの分野に興味のある多くの方々にとって、極めて意義のある出版物と考えています。世界の名だたる薬剤耐性モニタリング(サーベイランス)制度では年次報告として英文で公表しており、各国の対策の策定や科学論文の執筆に役立っているのです。担当者としては日頃のルーチン業務を抱え、業績となりにくい英文報告書の執筆に時間を割くことを躊躇するかもしれません。しかし、その意義は科学論文以上で国の威信を守ることであり、所内でも適正に評価されるべきことと考えています。

今般の英文報告書を見ていると、前回と比べて目につくのは病気の伴侶動物に関する調査成績を新たに加えたことでしょう。このことで世界はJVARMがこれまでブラックボックスであった伴侶動物を正式に対象としたことを知ることになります。次回に健康な伴侶動物の成績が加われば世界のトップランナーになることは間違いありません。

このような英文報告書を発刊しているお陰と思いますが、国際会議に出席する国内の著名な医療関係者から、世界的に厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業であるJANISよりJVARMの認知度が高いとの声も聴かれ鼻高々だった記憶があります。実際にWHOの出版した薬剤耐性報告書2)でも世界的に有名な制度であるNARMSやDANMAPなどと並んで紹介されています。今後も継続的な英文報告書の公表をお願いしたいと思っています。なお、敢えて注文を付けるとしたら、1年遅れ程度の直近版の報告を公表していただければ幸いです。

 

1)National Veterinary Assay Laboratory: Report of the Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring System 2016-2017, 2020.

https://www.maff.go.jp/nval/yakuzai/pdf/200731_JVARMReport_2016-2017.pdf

 

2)WHO: Antimicrobial resistance global report on surveillance 2014.

https://apps.who.int/iris/handle/10665/112642