家庭で新型コロナウイルスを消毒する

掲載日:2020.07.06

家庭用洗剤を使って新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の消毒に関する話題を先に紹介したところです(https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3742.html)。その情報元は(独)製品評価技術基盤機構(NITE)が経済産業省の依頼により消毒効果を検証した中間報告でした。その報告書では皆さんが通常使用している住宅家具用洗剤や台所用合成洗剤に含まれる以下の界面活性剤が有効というものでした(これら成分が含有する製品名も公表されています)。

■直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)

■アルキルグリコシド(0.1%以上)

■アルキルアミンオキシド(0.05%以上)

■塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)

■リオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)

今般、NITEが界面活性剤である純石鹸分である脂肪酸カリウムと脂肪酸ナトリウムの評価結果を公表しました。また、いろいろな製品が出回っているものの効果が明確でなかった次亜塩素酸水とジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの評価結果を公表し最終報告を取りまとめました(https://www.nite.go.jp/data/000111315.pdf)。今回は追加部分の評価結果をお知らせしたいと思います。

まず純石鹸分ですが、石鹸は油脂を水酸化ナトリウムで煮ることで脂肪酸ナトリウムとなり固形石鹸になります。一方、油脂を水酸化カリウムで煮ると脂肪酸カリウムとなり液状石鹸になります。試験の結果、純石鹸分である脂肪酸カリウムは0.24%以上で、脂肪酸ナトリウムは0.22%以上で有効と判定されました。なお、今回は成分について検証したものであり、製品そのものの検証結果でないことに留意する必要がありますが、家庭用石鹸を適切に使用することでSARS-CoV-2の除去ができることを明らかにしたものです。

次に次亜塩素酸水ですが、塩酸や食塩等を電気分解して生成させるもの(電解型)と、溶液を混和するもの(混和型)や水に粉末や錠剤を加えて生成するもの(粉末型)やイオン交換法などのもの(その他の型)の非電解型に区別して検証を行いました。その結果、検証対象とした次亜塩素酸水(pH6.5以下)について、次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上で、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは有効塩素濃度100ppm以上で有効と判断されました。次亜塩素酸のウイルス不活化を効果に行うためには、以下の注意を守る必要があります。

  • 汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去すること
  • 対象物に対して十分な量を使用すること

なお、一時話題なった次亜塩素酸水の空中噴霧ですが、厚生労働省は浮遊ウイルスの除去効果について国際的に評価方法が確立されておらず、安全性についても消毒効果を有する濃度の次亜塩素酸水を吸い込むことは推奨しないとしています(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html)。

以上のことから、我われの身近な製品でSARS-CoV-2を有効に消毒できることが明らかになりました。しかし、これからもウイルスと共存していかなければならないため、消毒薬を適切に使用するとともに、「3つの蜜」を避け、人と接触する場合はマスクの着用をお願いしたいと思います。

 

*ppm:「parts per million」の略で、100万分の1の意味。1ppmは0.0001%。

 

https://www.nite.go.jp/data/000111312.pdf

・32~35ppmの非常に薄い有効塩素濃度で20秒という短時間にウイルスを1/1000から1/10000に減少させることができました。