米国でネコ2匹が新型コロナウイルスに感染した!

掲載日:2020.04.27

これまで伴侶動物であるイヌやネコでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染事例について紹介してきました。最初は香港でのCOVID-19に感染している患者が飼育する無症状のイヌがPCR検査で弱い陽性反応を示したとの報告でした(https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3435.html)。次いでベルギーで患者が飼育する何らかの症状を示すネコで陽性反応を示すとの報告でした(https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3489.html)。さらに米国で呼吸器症状を示すネコ科のトラが検査で陽性を示したとの報告でした(https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3542.html)。これらの野外の症例は非常に少数でしたので、イヌやネコが本当に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感受性なのかどうかを判断することはできませんでした。ところが、その後中国で様々な動物を使用した感染実験を実施した結果、イヌではウイルスの増殖が不十分であったものの、ネコは感染することが明らかにされました(https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3566.html)。また、同居するネコも飛沫などにより感染することも明らかにされました。ただし、使用動物数が少ないことや遺伝的な背景を同じくするネコでの実験であったことから、市中で一般に飼育される様々な動物に当てはまるのかは今後の研究の進展に委ねられていました。

このような状況の下、4月22日に米国疾病予防センター(CDC)と米国農務省国立獣医学サービス・ラボラトリーは、アメリカでペットのネコ2匹がSARS-CoV-2のPCR検査で陽性となったことを明らかにしました(https://www.cdc.gov/media/releases/2020/s0422-covid-19-cats-NYC.html)。これはアメリカでの最初のペットでの陽性例になったとともに、先の動物実験結果を確認することにもなりました。通常は動物での感染症に関するもので、また動物からヒトへの感染も不明な段階ですので、農務省が単独で報告するものです。しかし、今回はCDCと共同で公表したところに、米国におけるCOVID-19の深刻な状況を推し測ることができ、できる対策は何でも実施しようとする米国政府の強い姿勢が伺われます。今回の事例の具体的な内容について紹介しますと、ネコは現在COVID-19が猛威を振るっているニューヨーク州の別々の場所で飼育されていたもので、軽度の呼吸器症状を示したものの、完全に回復するものと考えられていました。1例目のネコを飼育している家ではCOVID-19と診断されている人はいませんでした。したがって、軽症あるいは無症状ながら感染している飼い主や、屋外での感染者との接触によって、ネコにウイルスが伝播した可能性があります。また、もう1例のネコは呼吸器症状が出る前に飼い主はCOVID-19と診断されており、ネコが発症した後のサンプルで陽性となったものです。同じ家で飼育する別のネコは症状を示していないようです。

このように2例のネコの自然発生事例が報告されましたが、感染ネコが米国でのSARS-CoV-2の拡散に影響しているとの明確な証拠はないと報告書で述べています。また、今回の報告でネコに対して過剰な対応を考える必要はないとも米国の公衆衛生当局は警告しています。動物がこのウイルスに対してどのような感受性を示すのか、また動物のCOVID-19の蔓延における役割に関してさらなる研究が必要とされています。なお、動物での詳細なことが判明するまで、CDCは以下のことを推奨しています。

■ペットに屋外のヒトや他の動物と触れさせないでください。

■ネコが他の動物や人と接触するのを防ぐために、可能な限りネコを室内に置いてください。

■イヌを鎖でつないで、他のヒトや動物から少なくとも6フィート(約180cm)離してください。

■多くのヒトやイヌが集まるドッグパークや公共の場所は避けてください。

また、ヒトがCOVID-19を疑われるか、検査で陽性が確認された場合、他のヒトと同じように、ペットや他の動物との接触をさけることを要請しています。

■可能であれば、飼い主に感染が認められた時は、飼い主以外の方にペットの世話をしてもらいましょう。

■撫でる、寄り添う、キスや舐められる、食べ物や寝具を共有するなどのペットとの濃厚な接触を避けましょう。

■あなたが罹患した時にペットや周りの動物の世話をしなければならない場合は、接触する前後に十分に手を洗ってください。

以上、米国でのネコの感染事例をCDCの報告を基に紹介しました。これまでの報告と今回の事例からもSARS-CoV-2はネコに感染することは明らかだと思われます。ただし、ネコはどのくらいのウイルス量で感染するのか、感染したら糞尿などからどの程度のウイルス量をどのくらいの期間排泄するか、さらにはネコからヒトへ感染するのかなど、まだまだ情報が不足しています。先に述べたCDCの注意事項を守って、自分のネコへの感染を防ぐとともに、ヒトへの感染源にならないように注意することが必要です。今後も動物におけるCOVID-19の感染事例について情報を提供して行きたいと思います。