抗菌薬はペットにもあなたにも大事なお薬です!

掲載日:2020.04.20

このコラムを読んでいただける皆様にとって、今の最大の関心事は新型コロナウイルス感染症に関するものであると思います。この感染症の蔓延ですっかり影が薄くなった感はありますが、私たちの健康を脅かす薬剤耐性菌の問題にも関心を持っていただきたいと思います。

薬剤耐性菌を生み出す原因は、抗菌薬を過剰に使うことと誤った使い方にあると言われています。フレミングがペニシリンを発見してから今日まで、抗菌薬は細菌感染症の有効な治療薬として、私たちや動物に対して非常に大きな貢献をしてきました。耐性菌が蔓延した現在でも抗菌薬の意義は無くなることはなく、むしろ高まっているとも考えられます。抗菌薬は今後も我々が生きていく上において、なくてはならない薬なのです。その抗菌薬の使い方が適正でなければ耐性菌を増やしてしまい、ひいては私たちやペットの健康を維持することが難しくなるのです。この度、農林水産省はペットの飼い主の皆さんに対して抗菌薬の正しい使い方を普及・啓発するポスターを作成しましたのでご紹介します。

抗菌薬は非常に使い方の難しい薬なので、医学や獣医学などの専門知識を持って、さらに国家資格のある人しか取り扱えないことになっています。皆さんが薬局に行っても治療のための抗菌薬は買えないのです。したがって、現在、農林水産省では獣医師が抗菌薬を適正使用(獣医学領域ではさらに注意して使うということで慎重使用と呼んでいます)することを推進しています。皆さんが飼われているイヌやネコの具合が悪いときに動物病院に連れていき、もし感染症に罹患していると獣医師が診断した場合に、必要なら抗菌薬を処方してくれるはずです。その時、獣医師が抗菌薬を処方していないのに、皆さんが抗菌薬を要求することはありませんか?また、獣医師が指示した抗菌薬を勝手に治ったと判断して抗菌薬の投与を止めた経験はありませんか?さらに余った抗菌薬を自分の判断で具合の悪いイヌやネコに与えたことはありませんか?これらはいずれも先に述べた耐性菌を増やす原因に結びつくことから、ペットやあなたの健康を守るためにも止めましょう。ペットの飼い主の皆さん一人一人が正しい抗菌薬の使い方を理解することでも耐性菌を抑えることが可能なのです。因みにヒトでも風邪に対する抗菌薬の使用をできるだけ減らそうとポスターが作られています。ウイルスによる風邪に対して抗菌薬は効かないのです。是非とも参考にしていただければ嬉しいですね。