続々報:新型コロナウイルスによるイヌとネコの感染

掲載日:2020.03.30

3月5日付けの本コラムで、動物衛生に係る国際機関である国際獣疫事務局(OIE)が、香港で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者が飼育するイヌに、臨床症状はないもののPCR検査で弱い陽性反応を示した事例を報告したことを紹介しました。今般(3月20日)、OIEが同じく香港政府からの情報として、別のイヌにおける感染事例を報告しましたので紹介します(https://www.oie.int/wahis_2/public/wahid.php/Reviewreport/Review?page_refer=MapFullEventReport&reportid=33684)。3月18日にCOVID-19に罹患した飼い主が入院した後に、飼育していた2頭のイヌが隔離されました。その後、鼻腔、口腔、直腸拭い液を採材しPCR検査を実施したところ、3月18日と19日に1頭から採材したサンプルで陽性反応を示したとのことでした。いずれのイヌも特定の臨床症状は示しておりません。以上がOIEの報告の概要で、これ以上の論文などの詳しい情報はなく、感染したイヌからイヌへの感染やイヌからヒトへの感染についての情報は全くありません。したがって、前回と同様に今すぐに対処しなければならない状況にはないと考えます。今後の詳しい情報を待ちたいと思います。

一方、3月28日のAFPニュース(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200328-00000001-jij_afp-int)は、ベルギー食品安全庁が27日にCOVID-19の感染者が飼育するネコの感染事例を報道しています。このネコには「一過性の呼吸器系・消化器系の問題」が見られたと述べています。しかし、この報道の根拠となる権威ある団体からなる科学的な情報を見つけることができませんでした。したがって、この情報に対してもネコを飼育する方が過剰に反応する段階にはないと思います。

以上のようにSARS-CoV-2によるイヌやネコへの感染についてはヒトの感染事例に比べ症例数も極めて少なく、本当に感染するのか、感染するとしてどのような病気を起こすのか、またヒトへの感染源になるのかなど、多くの疑問が残されています。3月28日現在、WHOによると世界の感染者数は638,435人といわれており、相当数のイヌやネコが感染者と同居していたと考えられます。しかし、専門機関から明らかに感染事例と報告されたのは、紹介したイヌの2例だけの状態です。臨床症状もなく、現状では動物が簡単にPCR検査を受ける状況にないものの、動物への感染は極めてまれと思われます。たがって、現時点でCOVID-19に感染していない飼い主の皆さんがペットであるイヌやネコの感染を過剰に恐れる必要はないと考えます。また、不幸にも感染された方が飼育しているイヌやネコについては、不明なことも多いことから外に出さずに家族の方が自宅で2週間程度飼育・観察し、様子を見ていただければ良いと思います。この場合は、緊密に動物と接することなく、動物に触れた後のこまめな手指の洗浄・消毒をお願いします。また、こまめな糞尿の衛生的な処理もお願いしたいと思います。今後もイヌやネコのSARS-CoV-2感染に関する最新の科学的な情報の収集に努めたいと思います。