耐性菌により年間8000名が死亡と推定

掲載日:2019.12.09

12月5日に国立国際医療研究センターのAMR臨床リファレンスセンターは、日本におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)による感染症での死亡者数を公表しました。これまで薬剤耐性菌により多くの患者が死亡していると漠然と想像していたものの、実際にどの位の方々が亡くなっているか分かりませんでした。今回、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)の情報を元に初めて死亡数を推定し公表したものです。

公表資料によるとMRSA菌血症による年間死亡者数は2017年に4,224名と推定され、2011年の5,924名から減少していることが伺われます(表参照)。死亡者数がさらに減少することを祈りたいと思います。また、FQREC菌血症による年間死亡数は2017年で3,915名と推定され、2011年の2,045名と比べ残念ながら上昇していることが分かります。両者を合わせると二つの主要な薬剤耐性菌感染症で8,139名となります。今回の死亡者数は薬剤耐性菌感染症による死亡者数の一部を示していることに過ぎず、全ての耐性菌感染症による死亡者数を想像すると、薬剤耐性菌は健康に対する大きなハザードであると思われます。因みに米国では年間3.5万人以上、欧州では年間3.3万人が死亡していると推定されています。今後は他の薬剤耐性菌感染症による死亡者数も検討するようですので、近い将来日本の全貌が明らかになると期待されます。いずれにしても薬剤耐性菌は我々にとっての非常に大きな脅威ですので、早急に薬剤耐性菌対策を実行することの必要性を示しています。

なお、動物分野を見てみると世界的にも死亡数まで踏み込んだ調査成績が公表されていない状況です。しかし、薬剤耐性菌対策を構築する上で非常に重要な調査成績であることから、何らかの形で推定死亡数を検討する必要があると思われました。

この調査成績は以下のプレスリリース及び論文として公表されていますので参考にして下さい。

 

プレスリリース(AMR臨床リファレンスセンター)
http://amr.ncgm.go.jp/pdf/20191205_press.pdf

 

Shinya Tsuzuki et al., National trend of blood-stream infection attributable deaths caused by Stapylococcus aureus and Escherichia coli in Japan, Journal of Infection and Chemotherapy
https://doi.org/10.1016/j.jiac.2019.10.017