エキゾチックアニマルを飼うということ

掲載日:2018.12.21

最近、イヌやネコの伴侶動物に飽き足らなくなったのか、エキゾチックアニマル(exotic animal)(EA)を飼育する方が増えており、病気の動物を動物病院に持ち込むケースも増えています。EAはそもそも飼育動物でないことから、その生態や病原菌の保有状況も不明な点が多く、外来種であれば生態系に及ぼす影響も考慮する必要があると考えられます。そこで今回は、最近、増加傾向にあるEAを飼うことの意味について紹介し、飼育される時の参考にしていただきたいと思います。

EAに明確な定義はないようですが、伴侶動物として飼育されている特殊な動物に対して使われています。一般には主に海外から輸入された野生動物に対して使われているようです。EAとして飼われている動物は、齧歯目(各種ネズミ、リス、プレーリードッグなど)や霊長目、コウモリ、爬虫類、両生類などで、一部、繁殖されたものもありますが輸入されたものも多い動物です。1990年年代にブームとなりましが、現在でも人気が高く、需要の多い動物とされています。イヌやネコよりも小型な動物も多く手軽で種も多いことから、イヌやネコに続くペットとして多くの方々に受け入れられたようです。また、コレクターのように他人と異なる動物を飼いたいといった気持ちがあるのかもしれません。しかし、本来は野生動物であることから、細心の注意と知識が必要な動物でもあるのです。

まずEAからヒトが感染することが知られている病原体を見てみましょう(表)。ウイルスを見ると、ラッサ熱を始め感染症法で最も病原性の高いウイルスが並んでいます。また、細菌を見ても結核やペストを始め、病原性の高い病原体を保有する可能性があることを示しています。一般に動物からヒトに感染する感染症を人獣共通感染症あるいは動物由来感染症と呼んでいます。理論的にはヒトから動物に感染する病原体もありますが、極めて少ないと言われています。ヒトに感染する病原体の内、約60%が人獣共通感染症の病原体です。また、日本では約60種の人獣共通感染症が明らかになっていますが、世界的には200種以上が知られており、どのEAが関係するのか明らかになっていなのです。それぞれのEAが関係する可能性のある病原体が明らかになっていないということは、関連する人獣共通感染症の予防や治療法が分からないことを示しているのです。

また、先に述べたような人獣共通感染症以外の病気でも、治療法や予防法が分からない病気が多いのです。動物病院に勤務する獣医師は、全て獣医系の大学で獣医学全般を学んで獣医師国家試験に合格しなければなりません。しかし、日本の獣医学教育の中で、EAの内科学や外科学を教えている大学は皆無に近く、EAを専門とする教員も殆どいないのです。もし扱うとすると野生動物学になりますが、臨床学というより生態学に近いものです。EAの治療をうたっている動物病院があれば、そこの獣医師は個人的に勉強しただけです。このようにEAに対する専門的な獣医師が少ないことも問題であろうと考えられます。

最後に環境に対する影響についても触れておきたいと思います。メデイアによる情報に対する間違った理解によって安易にEAを飼育して、飼育できなくなった動物を環境に遺棄することの問題点が指摘されています。最近、特に問題視されているのが外見のかわいいアライグマになると思います。テレビアニメーションの影響でヒトに懐くだろうという幻想で安易に購入したところ、凶暴な性格で飼育することができずに、野外に放置された多くのアライグマがいます。そもそもアライグマは北アメリカの原産であり、日本に天敵となるオオカミのような大型の肉食獣がいないために全国的に野生化したといわれています(図)。また、アライグマは旺盛な繁殖力を持っており、雑食性であるために、両生類、爬虫類、魚類、鳥類(卵)、哺乳類、昆虫類、 甲殻類、その他の無脊椎動物、植物(果実など)と非常に幅広い食性を示します。したがって、甚大な農業被害を起こし、日本固有の生物に影響を及ぼすなどの生態系の破壊に繋がっているのです。

以上、ご紹介したようにEAを飼育するということは、それ相当の覚悟がいるということをご理解いただけたでしょうか?飼育するにあたっては、ペットショップの店員からの言葉を鵜呑みにすることなく、自分でできる限りの知識(飼い方、病気、生態学など)を得ることが必要になります。飼うとなれば終生飼育が原則となります。アライグマのように安易に放棄しないことが求められます。また、EAの中には狂暴であったり、有毒な動物もいることから、自分のみならず他人に迷惑をかけないことを肝に銘じる必要があります。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/306/graph/dt30651.gif

環境省生物多様性センター
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/map/map15/index.html