犬猫の殺処分頭数が激減しています!

掲載日:2018.11.26

環境省は11月1日に「犬・猫の引き取り及び負傷動物の収容状況」に関する統計資料を公表しました。これによると殺処分数は、20年前の平成9年の661千頭から激減し、平成29年には43千頭に成りました。具体的には、犬で372千頭から35千頭、猫で283千頭から8千頭になりました。今回はこの要因を考えるとともに、動物愛護センターの業務について紹介したいと思います。

犬は約40,000年前から警戒用や清掃用、さらには狩猟のパートナーとして飼育されてきました。また猫は約9,500年前から穀物を食い荒らすネズミや仏教の経典をネズミから守るために飼育されてきたとされています。このような人類との共生関係も時代とともに変化を生じ、今では複雑化した社会を生き抜くための癒しの対象として飼育されるようになっています。しかし、さまざまな理由により飼育を継続することが困難になったときに、犬や猫は動物愛護センターに持ち込まれ殺処分の対象とされてきました。また、動物愛護センターでは、人が感染し発症するとほぼ100%死の転機を取る狂犬病の蔓延防止のために浮浪犬の保護・捕獲が行われ、引き取り手がない場合は殺処分されて来たのです。このような活動と狂犬病ワクチン接種の義務化により、日本は世界的にも稀な狂犬病の無い国となったのです。

殺処分数が減少した要因としては、勿論浮浪犬や猫が減少したこともありますが、「動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)」の制定が大きかったものと思います。動愛法は昭和48年(1973年)10月1日に議員立法により制定されたもので、動物虐待等の禁止により「生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する」こと(動物愛護)、動物の管理指針を定め「動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止する」こと(動物管理)、となっています。平成11年(1999年)に法改正が行われ、動物取扱業規制や飼い主責任徹底などが新たに盛り込まれました。また、2013年の改正では、飼い主やペット業者の責任や義務が強化され、実物を見せないまま販売することは禁止され、飼い主はペットが死ぬまで飼い続ける責務があることなどが盛り込まれました。また、都道府県等が理由如何によって所有者からの引取りを拒否できることになり、引き取った犬や猫の返還や譲渡に関する努力義務が設けられました。この結果、図で示すように犬や猫の返還・譲渡数が急激に伸びたように思われます。

このような業務を行う施設が動物愛護センターになります。動愛法の制定前は動物管理センターと呼ばれていたように思います。地方の公衆衛生分野の公務員獣医師になった場合の勤務先の一つになり、保健所や食肉衛生検査所などとともに、勤務期間中に一度は経験することになります。動愛法制定以前は狂犬病予防法関連の放浪犬・迷い犬の捕獲・保護・抑留・返還及び処分や咬傷事故の届出受理・指導などの業務で獣医学生にとってあまり魅力ある施設とはいえなかったように思います。しかし、制定後は動愛法関連の業務が付加され、動物愛護の啓発や動物の適正飼養の啓発・指導や犬のしつけ教室の開催など業務も多岐に亘るようになりました。さらには健康で飼育に問題ないような犬や猫は積極的に譲渡会を開催し新たな飼い主に譲渡しています。その結果、獣医師にとっても魅力ある職場に変貌しており、勤務する獣医師の熱意で殺処分する犬や猫の数が激減しているのです。各動物愛護センターでの殺処分数にも開きがあることから、さらなる殺処分数の減少も期待できる状況にあり、勤務する獣医師の益々の奮闘を期待したいと思います。

環境省:犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html