獣医師と動物看護師がネコからSFTSに感染!

掲載日:2018.11.05

致死性のSFTS(重症熱性血小板減少症)ウイルスがイヌとネコからヒトに感染した事例については、このホームページの一般向け情報(イヌとネコは致死性SFTSウイルスを媒介する;2018年5月28日)でお知らせしたところです。今般、宮崎県において小動物臨床を行う動物病院に勤務する獣医師がネコから感染した事例が明らかにされましたので紹介したいと思います。

2018年8月16日に体調が悪いネコを診察・治療しました。当該ネコは前日に別の獣医師が診察したところ、SFTSを疑い、診断のため宮崎大学に遺伝子検査を依頼しており、8月18日にSFTSと診断されました。獣医師はネコとの接触から10日後に発熱と倦怠感を訴え、県内の医療機関を受診しました。臨床所見からSFTSが疑われたため、県内の高次医療機関に転院し、SFTS検査を受けるも、当初の診断結果は陰性でした。疫学的所見および臨床所見から依然とSFTSが強く疑われたことから、SFTSを念頭に置いた治療が実施されました。その後の継続的な再検査で、3および4病日目にSFTSウイルス遺伝子検査が陽性となり、8月31日にSFTSと確定診断されました。診断前の早期の治療の結果、獣医師はその後回復したそうです。

また、獣医師がネコを治療した時に補助した動物看護師も、12日後の8月28日に症状を訴え、県内医療機関を受診しました。この時、臨床所見からSFTSの可能性は低いと判断され、通院治療にて間もなく回復したようです。しかし、獣医師の件を踏まえ、動物看護師のペア血清を用いたSFTSウイルス抗体検査を実施したところ、SFTSと診断されました。

なお、SFTSのネコは皮下点滴の際に出血し、獣医師と動物看護師が血液のふき取りと止血処置を行ったそうです。また、獣医師と動物看護師は治療を行う際に、感染予防対策としてグローブとマスクを着用していましたが、ゴーグルやフェイスシールドは着用していなかったそうです。

以上のように、小動物病院で来院したイヌやネコの通常の治療過程で、グローブとマスクを着用していたにも係らず、容易にSFTSウイルスに感染することを示しております。疑わしい症例に遭遇した場合は、完全なる院内感染防止対策をとることが必要であることを、今回の事例は示しています。なお、さっぽろ獣医師会はMRSA対策の一環として小動物病院における院内感染防止マニュアルを作成していますので参考にして下さい。また、今回の事例を受けて第2回宮崎One Health研究会の公開セミナー「宮崎県で考える“ペット由来感染症”としてのSFTS」が開催されるそうですので、興味のある方は参加されることをお勧めします。