【論文掲載】Inhibition effect of flavophospholipol on conjugative transfer of the extended-spectrum β-lactamase and vanA genes (抗菌性飼料添加物であるフラボフォスフォリポールによる基質特異性拡張型β-ラクタマーゼとvanA遺伝子の接合伝達阻害効果)

掲載日:2018.11.05

医療における薬剤耐性菌の蔓延は深刻な事態となり、One Healthに基づく耐性菌対策が医療と獣医療の連携により強力に進められています。しかし、効果的な耐性菌対策は限定されており、画期的な方策が求められています。これまでは耐性菌対策の切り札として新規抗菌薬が開発されてきたものの、広範囲に使用されれば新たな耐性菌が生み出され、その耐性菌に対する新規抗菌薬が開発されるというイタチゴッコが続いていました。そこで既存抗菌薬の新たな機能に焦点をあてた開発研究が精力的に進められています。

フラボフォスフォリポール(FPL)は抗菌性飼料添加物であり、EUを除いて日本を含むいくつかの国において鶏や豚に使われています。FPLは細菌細胞壁の合成酵素であるグリコシルトラスフェラーゼを阻害する効果が知られています。また、プラスミドの伝達を阻害することも知られていますが、その効果について十分に検討されていませんでした。そこで我々は医療において重要視され、また食用動物からの分離報告の多い基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)と飼料添加物との関連が指摘されたバンコマイシン耐性遺伝子(vanA)の接合伝達におけるFPLの効果を検証しました。

その結果、FPLが濃度依存的に供試株のESBLおよびvanA遺伝子の伝達頻度を低下させ、プラスミドの型に依存して伝達頻度を上昇させたり、減少したりすることが明らかになりました。またESBL産生大腸菌において、濃度依存的なFPLによるプラスミドの除去効果が認められたことから、接合伝達の阻害効果に部分的に関連するものと思われました。このことは、飼料添加物としてのFPLが使用動物の成長促進効果を示すとともに、使用動物間での医療で重要視されるESBLおよびvanA遺伝子の拡散を阻害することを示唆しました。

Hayami Kudo, Masaru Usui, Wataru Nagafuji, Kentaro Oka, Motomichi Takahashi, Hiroyuki Yamaguchi, Yutaka Tamura: Inhibition effect of flavophospholipol on conjugative transfer of the extended-spectrum β-lactamase and vanA genes, The Journal of Antibiotics
https://doi.org/10.1038/s41429-018-0113-4