イヌ用トリーツからサルモネラの分離

掲載日:2018.10.23

 

トリーツ(treats)とは、躾を行う際に、指示通りの行動ができた時に与えるご褒美のことを言います。一般的にはおやつを与えることが多いと思います。トリーツとして販売される製品の原材料は、鶏、豚、牛、鹿、馬、七面鳥、猪、羊などの肉が使われており、半生製品が多いようです。多くは国産ですが、海外産の製品も出回っています。

今回、倉敷芸術科学大学の湯川は、イヌ用トリーツからサルモネラの分離報告を第161回日本獣医学会に報告しましたので、その概要を紹介し注意喚起したいと思います。まずサルモネラですが、ヒトの食中毒の原因菌として重要視されていますが、イヌやネコに感染して嘔吐や下痢を伴った胃腸炎の原因となることがあります。したがって、人獣共通感染症の起因菌として重要視されているのです。今般、303検体のトリーツの7検体(2.3%)からサルモネラが分離されました。その血清型は、Salmonella Typhimuriumの単相鞭毛変異株 O4:i:- 3株、Rissen 2株、Thompson 7株でした。この内、O4:i:-は近年ヒトでも動物でも分離率が高まっている血清型です。従来、ヒトのサルモネラ症から分離される血清型は主に鶏に由来するS.Enteritidisが最も多く、北海道の調査では1994~98年に分離された株の51.2%を占めていました。一方、2014~15年の分離株ではO4:i:-が30.3%で最も多いと報告されており、ヒトのサルモネラ症で注目すべき血清型と言えます。サルモネラが分離されたトリーツは、鶏、豚、牛が原材料であり、その内の2検体は韓国製でありました。海外での同様の調査では、2~5%の検体からサルモネラが分離されたと報告されており、同等かやや低めという結果でした。

この報告を受けて農林水産省は2018年9月30日付(30消安第3086号)で注意喚起の通知を発出しています。これによるとペットフードの製造に当たっての留意点を示すとともに、サルモネラが検出されたペットフードに起因すると考えられるイヌ又はネコの健康被害を確認した場合は、農林水産省畜水産安全管理課へ速やかに連絡することとされています。また、ヒトに感染する血清型のサルモネラが混入する可能性があることから、素手でトリーツに触れた場合や、イヌやネコの糞便を取り扱った後の手指の洗浄を十分に行うなどの注意が必要です。

渡邉涼太ほか:北海道におけるヒト由来サルモネラ血清型の推移 道衛研所報 66:65-67, 2016.