岐阜県で豚コレラが26年ぶりに発生

掲載日:2018.09.10

アフリカ豚コレラが日本国内に侵入する危険性について先に紹介しました。中国で感染拡大が報告されているものの、幸いに現時点で国内に侵入したとの報告はなされておらず、毎日固唾を呑んで新聞等の報道を注視しています。このような家畜衛生の緊迫した状況の中、9月9日に農林水産省は岐阜県における豚コレラの発生に関するプレスリリースを発出しました。http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/180909_32.html

なお、海外でアフリカ豚コレラが続発しておりますが、今回の感染事例は精密検査を実施した結果、アフリカ豚コレラの感染でないことを確認されております。国内で豚コレラの感染が確認されたのは26年ぶりで、すでに豚に対してワクチン接種は実施されておらず、豚は無防備の状態にあることから感染の拡大が懸念されています。そこで今回は豚コレラの発生について情報を提供したいと思います。

今回の感染事例は岐阜県岐阜市で繁殖豚79頭と肥育豚531頭を飼育している養豚農家で発生したものです。岐阜県は、9月3日に飼養豚が死亡しているとの通報を受けて病性鑑定を実施しました。その時点で豚コレラが否定されたことから経過観察とされていました。9月5日に養豚場で異常が収まらないことから、岐阜県が検査を実施しましたが、豚コレラを疑う結果とはなりませんでした。9月7日に養豚場での異常が引き続き認められることから、岐阜県が改めて検査を実施したところ、豚コレラを否定できないとの結果が得られました。9月8日に豚コレラの疑いが生じたため、農研機構動物衛生研究部門(旧動物衛生研究所)で精密検査を実施したところ、豚コレラであることを確認したものです。そこで9月9日に農林水産省豚コレラ防疫対策本部を開催し、今後の防疫措置について決定しています。http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/180909_31.html

対応方針は、「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」に基づき、飼養豚の殺処分と焼埋却、移動制限区域の設定、区域内の発生状況調査の実施、消毒ポイントの設定、専門家および緊急支援チームの派遣、感染経路等の究明のための疫学チームの派遣などです。

豚コレラ(hog cholera)は、フラビウイルス科ペスチウイルス属豚コレラウイルスによる豚のウイルス性感染症で、豚およびイノシシに特有のものでヒトには感染しません。感染すると発熱し食欲減退、急性結膜炎を起こします。初期に便秘になったのち下痢に移行します。アジアを中心に発生しますが、日本では家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定(対象動物は豚、猪)されています。従来、日本では生ワクチンを使用することにより防疫体制が取られていましたが、2006年3月にワクチン接種を完全に中止して摘発淘汰を基本とする防疫体制とし、2007年4月1日より国際獣疫事務局(OIE)の規約に基づき、豚コレラ清浄国となったものです。

現在、感染拡大を防ぐため岐阜県の家畜衛生担当獣医師による必死の防疫体制が取られているものと考えられます。アフリカ豚コレラの侵入について心配している最中の家畜衛生上の危機であり、関係者の努力によってこの艱難を克服して欲しいと願っています。早急に侵入経路を解明することにより防疫体制をさらに強化すべきでしょう。なお、風評被害を起こさないためにも、本病は動物の病気であり、ヒトに感染することがないこと、さらに感染豚の肉が市場に出回ることがないことを周知することが必要に思います。