薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗状況

掲載日:2018.06.11

WHO薬剤耐性グローバルアクションプランの採択に伴って、2016年にわが国の「AMR対策アクションプラン2016-2020」が制定されました。本格稼働した1年目が終了したことから、ここで動物分野における6つの柱ごとの取組状況を紹介したいと思います。

まず①普及啓発・教育ですが、農林水産省のwebサイトを充実させたことが上げられます。(http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/koukinzai.html)中でもAMRに関する知識を抗菌薬の使用者である生産者や獣医師向けに提供したり、抗菌薬の慎重使用に資するためのリーフレットや抗菌剤治療ガイドブックなどが公表されています。また、普及啓発のための動画を作成しており、近々に公表されるものと思います。次いで②動向調査・監視ですが、このコラムでも紹介したワンヘルス動向調査報告書に動物分野における抗菌薬の使用量や耐性菌の出現状況を公表しています。このデータ部分は、AMRワンヘルス動向調査2017年度レポートとして公表し、誰でもがweb上で利用できる状態になっています(https://amr-onehealth.ncgm.go.jp/)。また、今年度の動物分野でもっとも特徴的な活動として、養殖魚およびペット動物において全国的なAMR動向調査をJVARMの枠内で実施することでしょう。耐性菌調査のみならずこれまで全く明らかにされていないペット分野での抗菌薬の使用実態調査も開始されています。さらに③感染予防・管理では、使用衛生管理の徹底やワクチンの実用化などでの感染症の予防対策を強化しています。④適正使用については、これまで誰でもが養殖魚に抗菌薬を使えたものを、獣医師などの専門家が関与する仕組みを導入しました。将来的には水産用の抗菌薬も要指示医薬品制度の中に位置づける第一歩と思いたいものです。また、抗菌性飼料添加物については、食品安全委員会での食品媒介性健康影響評価でリスクが低度でも認められた場合、指定を取り消す指針を決定しています。これは動物用医薬品としての抗菌薬よりも厳しいリスク管理措置であり、世界各国の対応に適合した考えであると思われました。この考えに準じて近々にコリスチンとバアージニアマイシンの指定が取り消される予定です。⑤研究開発では、抗菌性飼料添加物に頼らない飼養管理について技術的検証を開始しています。最期に⑥国際協力ですが、アジア地域各国の担当者を対象に技術研修・セミナーを動物医薬品検査所で開催しました。

以上のようにあまり表面的に公表されていないのですが、1年間という短期間に様々な取り組みが行われていることを認識して頂いたものと思います。しかし、まだまだ取り組まなければならない課題も多くあるように思います。2018年度はこれら活動をさらに深化させるとともに、不足する部分の新規活動が行われるものと期待しています。また、現時点では動物分野に限定した活動であることから、ワンヘルスを意識したヒト、動物、環境分野の連携による活動も充実して欲しいと願っています。

農林水産省資料提供