家畜と食用動物

掲載日:2018.05.07

牛や豚などの動物を総称する言い方で家畜というものがあります。また別の言い方で産業動物とも言われます。家畜とは、その生産物(乳、肉、卵、毛、皮、毛皮、労働力など)を人が利用するために馴致・飼育している動物を言います。また、家畜は人の飼育下で繁殖させた動物です。一方、近年では産業動物という言い方が普及しています。「産業動物の飼養及び保管に関する基準」によれば、産業動物は産業等の利用に供するために、飼養し、又は保管している哺乳類及び鳥類に属する動物を言います。具体的な動物種では、家畜伝染病予防法で家畜の種類を、牛、めん羊、山羊、豚、馬、鶏、あひる、うずら、蜜蜂としています。蜜蜂が加えられる理由は、腐蛆病と言う細菌性の法定伝染病があり、発生すると養蜂家に非常に大きな経済的な打撃が加えられるからです。また家畜伝染病予防法施行規則では、これらに加えて水牛、鹿、いのしし、うさぎ、七面鳥、がちょう、だちょう、ほろほろ鳥、きじなどが加わっています。しかし、肉が美味で食用に供される動物であっても、野生動物を捕獲したものは家畜や産業動物に含めません。それは人が飼育していないことに寄ります。

家畜は英語でlivestockとかdomestic animalと言いますが、最近の薬剤耐性菌に関する国際会議や国際学会ではほとんど使われることがなく、食用動物(food-producing animal)や非食用動物という言い方が一般的のようです。家畜から人への耐性菌の伝播経路は、直接的なものもありますが、多くは食肉を介して伝播します。したがって、食用動物か非食用動物という言い方が正確に動物の立ち位置を伝えることができるのです。ここで興味あるのは馬の場合です。馬は食肉や使役などの家畜を連想させる役割の他、乗馬などの伴侶動物(愛玩動物あるいはペット)としての側面があり、諸外国では後者が主な飼育目的となっています。しかし、日本では乗馬や有名な競走馬であっても最終的に食用となることが多いと言われています。したがって、日本では馬は食用動物ですが、海外では非食用動物となるのです。これは鯨が食用かペットかという論争と似た構造のようです。

因みにイヌやネコはこれまで日本ではペットあるいは愛玩動物とされていましたが、現在は伴侶動物(companion animal)と呼ばれることが多いと思います。複雑化した現代ではイヌやネコは人の癒しの対象であり、人が生きていく上で必要不可欠な存在となっています。つまり従来、人の目線の下にあったものが、現在では人と同格な存在になったということができます。実際にアンケート調査によれば伴侶動物を飼育する家庭での動物にかけている食費は、その家の主人に匹敵すると言われており、家庭によっては主人を上回ることもままあるようです。