畜産食品への医薬品残留

掲載日:2018.04.16

家畜に動物用医薬品を使用するとわれわれが食する食肉などに医薬品が残ることがあります。そのことを残留と呼んでいます。正確にいいますと、残留とは家畜の可食部位に存在する動物用医薬品の親化合物及び代謝産物をいいます。ここでいう可食部位とは、筋肉、肝臓、腎臓、脂肪、皮膚、乳、卵と注射部位のことです。注射部位を入れている意味は、当然のことながら医薬品を注射すると、その部位に最も高濃度の医薬品が残留するために、残留を調べる対象とするということです。以前は注射部位が含まれていませんでしたが、1994年に大阪府で購入した豚肉が調理後に苦いとの苦情が寄せられ調べたところ、抗生物質が高濃度で残留していることが分かりました(苦い肉事件)。この問題は国会でも取り上げられ注射部位も残留規制の対象とするという対策が取られたことに寄ります。医薬品の承認申請を行う時に、医薬品を対象動物に投与して継時的に可食部位での医薬品の濃度を調べ休薬期間を設定する残留試験が求められます。休薬期間とは、投与した医薬品が可食部位から消失し、畜産物中に残留しないために必要な、最後の投薬から出荷まで待たなければならない期間をいいます。休薬期間が過ぎた家畜は安全に喫食できることになりますので、食の安全性を確保するには極めて重要なことです。では可食部位の残留規制値はどのように決めているのでしょうか?ここで重要な言葉として、最大残留許容量(MRL)があります。MRLとは、動物用医薬品が食品中に残留しても、一定濃度まではヒトに対する安全性に問題ないとの観点から設定される残留許容濃度のことです。MRLはヒトが生涯にわたって毎日摂取しても障害が起こらない摂取量である1日許容摂取量(ADI)を基に設定されています。また残留試験に戻りますが、動物用医薬品を家畜に投与して経時的に可食部位の残留濃度を測定し、MRLを下まわった時点が休薬期間となるのです。したがって、農家が休薬期間を守って家畜を出荷した場合、その家畜から生産される畜産食品を食べてもヒトの健康に何ら問題を起こさないことになります。なお、畜水産食品の動物用医薬品の残留防止の一環として、毎年、厚生労働省検疫所や都道府県において残留有害物質モニタリング検査が実施され、その成績が公表されています。もし、残留が認められれば食品衛生法違反として対象食品は回収・廃棄されます。