【論文掲載】Isolation of a mcr-1-harbouring Escherichia coli isolate from a human clinical setting in Sapporo, Japan (札幌におけるヒトの臨床材料からのmcr-1保有大腸菌の分離)

掲載日:2018.03.19

現在、世界中で家畜由来薬剤耐性菌で最も注目されているものにプラスミド性コリスチン耐性遺伝子であるmcr-1保有大腸菌のヒトへの伝播があります。日本におけるmcr-1保有大腸菌の分離状況はすでに本コラムでも紹介しているところであり、すでにヒトからの分離報告が2報あることもお知らせしました。今回我われは、2017年に分離されたヒトの臨床由来大腸菌155株について調べたところ、1株にmcr-1保有が確認されたことを報告したものです。分離株のコリスチンに対するMICは2mg/Lでした。材料は39歳の子宮体がんの女性の膣粘液でした。患者のコリスチンやポリミキシンBの投与歴はありませんでしたし、海外渡航歴も不明です。分離株の性状は、コリスチン以外は感受性であり、約60kbのIncI2プラスミドに局在していました。この型のプラスミドは国内の鶏肉や家畜が保有する大腸菌のmcr-1と同一タイプです。またMLST型はST23で系統発生はA型で腸内常在性大腸菌に分類されました。

以上のことから患者が海外で感染したかどうかは不明ですが、国内で食肉から伝播した可能性を示唆するものでした。したがって、日本でもすでに頻度は低いながら家畜、食肉、ヒトへのmcr-1保有大腸菌の伝播をうかがわせるものであり、One Healthに基づく薬剤耐性モニタリングの重要性を指摘できるものと思います。

Isolation of a mcr-1-harbouring Escherichia coli isolate from a human clinical setting in Sapporo, Japan:Sato T, Fukuda A, Usui M, Shinagawa M, Shiraishi T, Tamura Y, Takahashi S, Yokota S, J Glob Antimicrob Resis, 12:20-21, 2018.