【論文掲載】Quinolone resistance determinants of clinical Salmonella Enteritidis in Thailand, Microbial Drug Resistance

掲載日:2018.01.19

動物薬教育研究センターの田村と北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの鈴木定彦教授との共同研究が論文として公表されたので概要を紹介します。

 

Salmonella Enteritidis (SE)は日本において鶏卵に汚染し、生卵を介してヒトに食中毒を起こすことが知られています。日本では鶏卵のサルモネラ汚染率が諸外国に比べて極めて低く0.003%程度と報告されています。また病性鑑定由来のサルモネラ属菌の薬剤感受性ではテトラサイクリンやアンピシリン、カナマイシンに対して高い耐性率を示すものの、フルオロキノロンに対して耐性を示すものはほとんど見られません。

今般、サルモネラ食中毒が頻発するタイでのヒトの臨床分離SEを用いてキノロン耐性性状を解析しました。合計158株のナリジクス酸耐性SEのトポイソメラーゼⅡ型遺伝子の突然変異とプラスミド媒介性キノロン耐性遺伝子の保有状況を調べました。gyrA遺伝子の最も多い変異は87位で、続いて83位でした。gyrA遺伝子に重複して変異のある株はナリジクス酸やノルフロキサシンやシプロフロキサシンに対して高い耐性を示しました。83位がセリンからイソロイシンに置換した新しい変異を示す株が8株認められました。非定形的なキノロン耐性を示す18のqnrS1保有株に加えて、qnrS1gyrA変異の両方を持つ1株は同様に高い耐性を示しました。MLVA解析の結果、国内に広くナリジクス酸耐性SEの特定のクローンが拡散したようでした。単一のキノロン決定領域の変異のあるナリジクス酸耐性株は引き続いた耐性決定因子を獲得することによりキノロン耐性になったことが示唆されました。したがって、キノロン耐性SEの出現を阻止するためキノロン薬の農場での使用を制限することを我々は強く提言したいと思います。

Utrarachkij F, Nakajima C, Changkwanyeun R, Siripanichgon K, Kongsoi S, Pormruangwong S, Changkaew K, Tsunoda S, Tamura Y, Suthienkul O, Suzuki Y: Quinolone resistance determinants of clinical Salmonella Enteritidis in Thailand, Microbial Drug Resistance, 23(7), 885-894, 2017.