人体用コリスチン製剤の適正使用の推進

掲載日:2017.11.01

人体用のコリスチンメタンスルホン酸ナトリウム点滴静注用製剤(以下、本剤)は、以前は日本においても抗菌薬として臨床使用されていたものの、安全性の懸念により一時使用が中止されました。しかし、近年、多剤耐性菌感染症に対する懸念が高まる中、本剤は2015年3月に承認を得て、再発売に至りました。この度、本剤販売企業より添付文書の記載事項の遵守状況について日本化学療法学会のホームページ(http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/colistin_guideline_news2.html)で下記の通り公表されましたので紹介します。

  1. 本剤は安全性の観点から、個々の患者の腎機能に応じて用量を適正に調整することが必要です。しかしながら、使用成績調査において調査票を回収し解析した結果、初回の1日投与量が不適正(過剰投与)例は135例中46例34%)に見られました。
  2. 本剤は、コリスチンに感性で他のβ-ラクタム系、フルオロキノロン系及びアミノ配糖体系の3系統の抗菌薬に耐性を示す一部のグラム陰性菌にのみ使用が認められています。従って、本剤の使用に際しては必ず原因菌を確定し、感受性試験を実施の上で適応の是非を決定しなければなりません。しかるに、使用成績調査の検討では、安全性解析症例145例中8例が適応外菌種または原因菌不明例でした。さらに適応菌種が原因で本剤が使用された137例での解析では、28例(20%)で、コリスチンの感受性試験が未実施でありました。

硫酸コリスチンに関しては古くから食用動物に対して医薬品あるいは飼料添加物として利用されてきました。飼料添加物に関する新しいリスク管理措置指針については、次年度に使用禁止になることをすでに業界向け情報(2017/08/02付け)で紹介したところです。医薬品としての硫酸コリスチンは継続使用になるものの、二次選択薬とすることや、対象菌種から緑膿菌を削除すること、薬剤耐性モニタリングを強化すること、さらには代替薬を検討するなどのリスク管理措置が示されています。したがって、人体用製剤と同様、動物用硫酸コリスチン製剤についても、さらなる適正使用の遵守をお願いしたいと思います。