水産用抗菌剤の取扱いに関する新しい仕組み

掲載日:2017.10.18

これまで水産用抗菌剤については、要指示医薬品に指定されていないために養殖業者でも購入することができました。そこで都道府県の指導の下に抗菌剤の適正使用を推進してきたものの、その完全な履行は困難でした。そのことが耐性菌を生み出す原因となったのではないかとの疑義が医学サイドから指摘されてきたところです。このような背景から2016年4月に内閣府から公表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2010」において、取り組み方針として「養殖水産動物用の動物用抗菌剤を使用する際の獣医師、薬事監視員、魚類防疫員等の専門家による指導体制の強化」が明記されました。

そこで平成30年1月1日から、水産用抗菌剤の購入の際に専門家の指導を必要とする仕組みを新たに導入することになりました(平成29年4月3日付消費・安全局長通知)。これによれば専門家(魚類防疫員、魚類防疫協力員、獣医師)が養殖業者等の抗菌剤の購入に介在することになり、適正使用がさらに推進するものと考えます。

水産用抗菌剤が要指示医薬品から除外された経緯を思い出してみると、獣医学教育が4年制から6年制に移行する時期であったと思われます。当時の獣医学教育の中に魚病学がなく、水産分野で活動する獣医師も殆どいなかったことから、獣医師が介在する要指示医薬品制度の対象にできなかったものと思います。その後、獣医学教育も6年制となり全ての獣医系大学で魚病学は必須科目となり、大学の中には魚病学の研究室も作られました。そこで獣医師の中には水産分野で活躍する人材も増えてきているところです。海外では水産薬も要指示医薬品制度の対象であることを考えれば、病気の予防・治療の専門家である獣医師を介在する要指示医薬品制度の対象に水産薬も加えることが必要に思えます。ただし、水産分野の獣医師が少ない現状を考慮すれば、今回は過渡的な対応と考える必要があると思います。将来的には水産分野も国際水準である獣医師の対象として、更なる抗菌剤の適正使用を推進して欲しいと願っています。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/suisan/suisan_yobo/index.html

坂本浩子:水産分野における抗菌剤の適正使用確保のための仕組み,日獣会誌 70:342-344, 2017.