CREとCPEの違いは?

掲載日:2017.08.21

CREはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)であり、CPEはカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(Carbapenemase-pruducing Enterobacteriaceae)の略称になります。学会や医療系のセミナーでCREとCPEという専門用語が飛び交い、両者を混同している向きがあるので、今回はこの違いについて解説したいと思います。

カルバペネム系抗菌薬はβ-ラクタム系抗菌薬の一つで、広域スペクトルを示し、臓器移行性も良好であることから、医療上最も重要な抗菌薬に位置づけられています。抗菌薬には、イミペネム、メロペネム、ドリぺネム、パニペネム、ピアペネム、テビペネムが人体用として承認されています。現時点で動物用に承認された抗菌薬はありません。カルバペネム系抗菌薬に対する耐性機構をまとめてみると、大きく二つあります。まずは細菌がカルバペネム分解酵素(カルバペネマーゼ)を産生することです。また、β-ラクタマーゼの産生量の増加と細菌外膜タンパク(ポーリン)の変化も耐性に影響することが知られています。

カルバペネマーゼには、活性中心がセリン型であるKPC型、OXA-48型、GES-4型、GES-5型が知られています。また、活性中心が金属イオンであるメタロ型として、IMP型、VIM型、NDM型などが知られています。分離菌のカルバペネマーゼには地域による特徴が知られており、米国ではKPC型が多く、日本ではIMP型が中心です。欧州ではVIM型、NDM型、KPC型、OXA-48型が混在しています。一方、カルバペネマーゼを産生しないにも関わらず薬剤感受性試験で耐性と判定される株としては、Enterobacter属菌などで染色体性の誘導型AmpCなどのセファロスポリナーゼの過剰産生とポーリンの減少や欠損する株が報告されています。また、染色体性AmpCを産生しない肺炎桿菌などでは、プラスミド媒介性のDHA型セファロスポリナーゼやCTX-M型β-ラクタマーゼの産生量の増加とポーリンの減少や欠損によりカルバペネムに耐性となります。

したがって、カルバペネム耐性機構を加味して判断すると、CREとCPEの違いは図のようになります。

 

カルバペネマーゼ産生菌はいずれにも共通であるものの、両者に厳密な意味でずれがあることをご理解いただきたいと思います。因みに感染症法におけるCREの届出基準は、薬剤感受性試験を基準として設定しており、「メロペネムなどのカルバペネム系薬剤及び広域β-ラクタム剤に対して耐性を示す腸内細菌科細菌による感染症」と定義されていますので、カルバペネマーゼ産生菌とともにAmpC型産生菌でポーリン欠損株も含まれることになります。一方、米国ではKPC型が主流であるため、CREはCPEと同義語として使われています。