第一選択薬の意味は?

掲載日:2017.07.31

医師や獣医師が疾病の治療や予防のために薬剤を選択する場合、第一選択薬から薬剤を選んで使用します。第一選択薬とは、ある疾病に対して、最初に投与される薬剤をいい、副作用が少なく、有効性が高いとされるものが選択されることが多いものです。では第二選択薬とは何でしょうか?ある疾病に対して、第一選択薬を投与しても無効な場合や、副作用のために治療の継続が困難な場合などに、次に使用される薬剤を言います。

ここで抗菌薬を投与する場合を考えてみましょう。抗菌薬による感染症の治療を抗菌化学療法と呼びますが、医師と獣医師では第一選択薬の考えが基本的に異なります。医師は第一選択薬を選定する場合は、あくまで有効性を主眼に出来るだけ早期に感染症から回復するような治療薬を選定します。エビデンスレベルに応じた推奨度は、専門の学会、例えば日本化学療法学会や日本感染症学会による治療ガイドラインで示されています。ところが、獣医療で言われる第一選択薬は、有効性もさることながら、さらに要件が決められています。それは人医療で重要とされる抗菌薬を除いたものの中から選択されることです。これは動物に抗菌薬を投与することにより、人医療で重要とされる抗菌薬に対する耐性菌を選択し、耐性菌によりヒトの健康に影響することを避けるためです。したがって、医師が第一選択薬として使用するフルオロキノロン薬や第3世代セファロスポリン薬、15員環マクロライド薬、硫酸コリスチンは、動物では第二選択薬として位置づけられているのです。動物における第一選択薬は、医療での重要性が低く歴史的な抗菌薬となるのです。命の大切さは人でも動物でも本質的な差はないと思いますが、人の命の重さに配慮した考えというべきものです。

文責:田村 豊